イエスと共にいる
(ヨハネによる福音書14章1~14節)
本日の福音書に記されている箇所は、ヨハネによる福音書の中の「決別説教」といわれている一部です。イエスが十字架につけられる前に弟子たちに語ったこの説教は、ヨハネによる福音書の13章31節から16章33節に記されています。
イエスは弟子たちに、自らが十字架につけられて弟子たちと別れる前に、「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい。わたしの父の家には住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行くと言ったであろうか。行ってあなたがたのために場所を用意したら、戻って来て、あなたがたをわたしのもとに迎える。こうして、わたしのいる所に、あなたがたもいることになる。」(1~3節)と教えます。イエスは、すべての人の救いのために十字架につけられ、この地上で弟子たちと別れることになりますが、しかし、それでもイエスは、弟子たちと共にいることを願い、そして共にいることを確約します。
弟子たちは、そのイエスの願いと確約を受け入れることができません。そのことが、弟子のトマスとフィリポの言葉に表れています。トマスは、「主よ、どこへ行かれるのか、わたしたちには分かりません。どうして、その道を<知ること>ができるでしょうか。」と言います。フィリポは、「主よ、わたしたちに御父を<お示し>ください。そうすれば満足できます。」と言います。トマスやフィリポたちは、自分のあり方を変えずに、イエスの住家に通じる道を知りたい、父なる神が示されるのを見たい、と言います。
しかし、イエスと共にいることは、自分のあり方を変えずにいることではありません。知ることや見ることができて自分が満足すれば、イエスと共にいることになるのではありません。イエスと共にいることは、「心を騒がせず、神を<信じ>、イエスを<信じる>こと」なのです。