「被献日」 ~私たちのために~
(ルカによる福音書2章22~40節)
本日の主日は教会の暦で「被献日」(2月2日)と定められた日に合致しています。「被献日」はイエスがお生まれになった日(12月25日)から40日後(2月2日)と決められています。この根拠は、イエスのおられたユダヤの律法に由来しています。ユダヤの律法では、男子が生まれた40日後に、その母親は神殿で産後の清めの儀式をしなければならず、その生まれた男子は、神に奉げられなければならなかったのです。ユダヤでは、人間であれ家畜であれ、その家で初めて生まれた子は、まず神に奉げなければなりませんでした。それは、得た恵みは神のものである、ということを徹底して確認しなければならなかったのです。
イエスの家族は、イエスが生まれてから40日後に、律法に定められたとおり、エルサレムの神殿へ行きました。そこで、律法の規定どおりに、母親であるマリアの出産の清めをするために鳩を一羽用意し、そして生まれたイエスを奉げる身代わりに、もう一羽の鳩を用意しました。イエスの両親は、生まれた長子のイエスを神に奉げなければなりませんでしたが、その代価として、雄羊を代わりに奉げるのが律法の規定でした。しかし、貧しくて、雄羊を購入して奉げることが出来ない場合は、その両親は、代わりに鳩を奉げることができました。イエスの家族は、そのような状況で、神殿で鳩を二羽奉げたのでした。「被献日」という日の名前の由来は、このように、生まれた長子であるイエスが献げられた、という儀式から伝えられてきました。貧しい家のもとに生まれたイエスは、このように鳩一羽を代価として、神に奉げられた者として、生まれてから40日目の儀式をうけました。
しかし、その儀式をする神殿で、突然、思いもしないことがイエスの家族に起こりました。神殿に仕えていた、シメオンとアンナというそれぞれ男女の預言者が、イエスについて宣言をしました。「この子は、万民のための救い主である」と。イエスの家族にすれば、神に奉げた我が子が、鳩一羽の犠牲で与え戻されたのに、この我が子が、いつしか自らが犠牲となって、すべての人の救い主となる、と知らされたのです。イエスの母マリア、父ヨセフは、どんな思いでこの知らせを聴いたのでしょうか。そして、私たちも、マリアやヨセフと同じ知らせを、この「被献日」に聴いているのです。「この子は、万民のための救い主である」と。