(ヨハネによる福音書17:20-26)
教会の暦は昇天日を経て復活節最後の主日を迎えました。主イエスはご受難の後、絶望のなかにいた弟子たちの真中にあらわれてくださいました。けれども主イエスは、再び弟子たちのもとを離れ、天に戻られます。かつて、「私は、あなたがたを孤独にはしておかない(14:18)」と弟子たちに約束したイエスは、ご自分が昇天した後も弟子たちのことを守ってくださるように神に祈ってくださいました。それが今日の福音、イエスによるとりなしの祈りです。イエスのとりなしの祈りによって降される神の助けがあるから、弟子たちはイエスが昇天してしまっても、働きを受け継ぎ、担っていくことができるようになったのです。
イエスの働きを受け継ぐ。それは、イエスと同じように神から離れさせようとするあらゆる力から挑戦を受ける歩みです。それはこの世においては孤独の道です。イエスはその孤独に最後まで耐えられましたが、私たちはその孤独に耐えることはできません。しかし、イエスは私たちを孤独にはしておきません。そのために、「父よ、私に与えてくださった人々を、私のいる所に、共におらせてください。」と祈ってくださったのです。この祈りに神が応え、イエスの昇天後、聖霊が降ります。そしてその聖霊が私たちにいつも働き、み言葉を思い起こさせてくださるからこそ、私たちはイエスといつでも共にいることができ、私たちは孤独のままにされることはないのです。
とりなし主なるイエス・キリストは、「父よ、あなたが私の内におられ、私があなたの内にいるように、すべての人を一つにしてください。…私が彼らの内におり、あなたが私の内におられるのは、彼らが完全に一つになるためです。」と祈り、いつでも私たちと一つであること、そしてご自身を通して私たちが神と一つとされることを願ってくださいました。この祈りのゆえに、私たちは孤独ではありえません。
ご自分の命をささげて神に従ったイエスの祈りを、神は必ず聴いてくださいます。そのことを証ししているのが、聖霊降臨の出来事に他なりません。イエスのとりなしの祈りは、聖霊が降されることで成就したのです。さあ、いよいよ来週、私たちはそのことを祝う聖霊降臨日を迎えます。 (司祭ヨセフ太田信三)