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行って、あなたも同じようにしなさい

ルカ10:25-36
ルカによる福音書10章に記された「善いサマリア人のたとえ」は、「隣人を自分のように愛する」とはどういうことかを深く教えてくれます。律法の専門家がイエスに「何をしたら永遠の命を受け継げるでしょうか」と尋ね、さらに「私の隣人とは誰ですか」と問いかけました。私たちも「誰までを愛せばいいのか」「どこまでが自分の責任なのか」と、つい線を引きたくなるものです。

主イエスはこの問いに物語で答えられました。ある人がエルサレムからエリコへ下る危険な道で強盗に襲われ、半死半生のまま道端に倒れます。そこを祭司とレビ人が通りますが、彼らは道の向こう側を通り過ぎます。当時、神に仕える立場にあった人たちが、苦しむ人を前にしても関わろうとしなかったのです。
そこへ通りかかったのがサマリア人でした。サマリア人はユダヤ人から「汚れた者」とされ、関わることすら避けられていた民族です。しかしこのサマリア人は、その人を見て「憐れに思い」、近寄って傷を手当てし、宿屋に連れて行って介抱し、さらにお金を払い世話を頼みました。主は「この三人のうち誰が隣人になったと思うか」と尋ねられ、律法学者は「その人を助けた人です」と答えます。イエスは言われました。「行って、あなたも同じようにしなさい。」

この言葉は単なる道徳の教えではありません。主は目の前で苦しむ人に心を寄せ、関わるよう促されます。
私たちの周りにも様々な形で道端に倒れている人がいます。職場ではいつも一人で弁当を食べている同僚、イライラしている上司や同僚がいるかもしれません。近所では、重い荷物を抱えて足を引きずるお年寄りがいます。学校や地域でも誰にも声をかけられずにポツンとしている子どもがいます。
今の日本社会には、経済的にも精神的にも厳しい状況に置かれた人が少なくありません。コロナ禍で職を失ったシングルマザーや、技能実習生、難民申請中の方々…。支援を求める声を上げる前に力尽きてしまう人もいます。こうした人々は決して遠い存在ではなく、同じ町に暮らし、同じ電車に乗っている私たちの「隣人」です。

もちろん私たちも、「自分だって余裕がない」「声をかけて拒まれたらどうしよう」とためらいます。しかし主イエスは「行って、あなたも同じようにしなさい」と招いておられます。これは「できるからやれ」という命令ではなく、「わたしがあなたを支える。だから恐れず一歩を踏み出しなさい」という励ましです。なぜなら主こそが、私たちの「善いサマリア人」だからです。私たちが罪や弱さで倒れているとき、遠くから見ているだけでなく、近づいて抱き起こし、救ってくださるのです。
だからこそ私たちも、小さな一歩を踏み出せます。エレベーターでお年寄りに「お荷物大丈夫ですか」と声をかける。電車で困っている親子を手伝う。コンビニで外国人店員さんに目を見て「ありがとう」と言う。礼拝に初めて来た方に「また来てくださいね」と微笑む…。小さな愛が、主にあって大きな意味を持ちます。

主は「行って、あなたも同じようにしなさい」と言われます。これは重荷ではなく、「小さなことからでいい。わたしが共にいるから恐れず始めなさい」という招きです。その歩みを主は喜び、祝福してくださいます。そして私たち自身が倒れそうになったとき、主は必ずそばに来て手を取ってくださいます。この愛に支えられ、私たちも隣人を自分のように愛する歩みを始めていきましょう。
(執事 パウロ福永 澄)

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