三位一体の姿を現してまで
（ヨハネによる福音書１６章１２～１５節）
本日は「三位一体主日」です。「三位一体」とは、「父」なる神と、神の独り「子」であるイエス・キリストと、神の力である「聖霊」が、一体であり、神の本質と同一であることを意味します。この三位一体であることを、聖霊降臨日を迎えた後に、もう一度確信を深めようと求めるのが今日の主日の大きな主旨です。
教会の歴史で、「三位一体」の神学的議論がなされ、「三位一体論」が確立されてきた理由には、イエス・キリストとはどういうお方であるのか、ということを問い続けてきた「キリスト論」の発展があります。聖書には、「父」と「子」と「聖霊」、あるいは「主イエス・キリスト」「神」「聖霊」という三つの言葉が並んで現われている箇所があり、この三つが一つであることの意味を、多くの議論と「キリスト論」の発展をとおして、「三位一体」が神学的に確立されてきました。
本日朗読される聖書の箇所でも、「父（神）」「わたし（み子イエス）」「真理の霊（聖霊）」という三位一体を表す言葉が記されています。しかしこの「三位一体」が確立されてきた教会の歴史において、神は実は三者で一体であるという「三神論」に陥る危険性が生まれ、また神は三つのかたちをとってこそ完全な神であるとする「様態論」に陥る危険性もありました。しかし教会では、「三位一体の唯一の神、唯一である三位一体の神を礼拝する。」（アタナシオ信経）と信仰を告白してきました。「神は三つの存在の仕方をし、一つの実体である」ととらえます。神はそのようにならなければ、私達は神の愛を知ることができなかったのです。神は三位一体というそのような自らの姿を現してまで、私達に愛を示そうとされるのです。