愛されて
(ヨハネによる福音書21章1~14節)
エルサレムの滞在していた家で復活したイエスに出会った弟子たちは、その後、自分たちの故郷であるガリラヤ湖のほとりの村へ帰ります。そして弟子たちは、イエスと出会う前に職業としていた漁師に再び戻ることにしました。弟子たちにとっては、エルサレムで復活したイエスに出会いながらも、今や、イエスは以前のようにいつも自分たちと共にいる者ではないととらえていました。
そして弟子たちはイエスの弟子となる以前の漁師に戻ります。その時、再びイエスは復活された姿で弟子たちに現れます。本日の福音書で読まれるイエスの復活の出来事には、四つの、イエスの弟子たちに対する大切な関わりが示されています。イエスは弟子たちに「子たちよ」と〈愛をもって〉呼びかけます。そして、かつて漁師だった彼らを弟子として〈招いた時と同じ状況で〉彼らに魚を獲る指示を与えます。その後、弟子たちが復活の姿のイエスをはっきりとわかって岸に上がると、炭火がおこしてありました。かつてペトロは炭火の前で、自分はイエスの弟子ではないと言ってイエスを裏切りました。しかし今、ペトロがイエスと囲んでいる炭火は、ペトロがイエスに〈赦されている〉ことを表す、暖かい炭火です。さらにイエスはその後、弟子たちにパンと魚を与え、彼らに朝の食事をさせます。それはかつて、五つのパンと二匹の魚で五千人以上の空腹の人を〈イエスが養った〉という出来事を思い起こさせます。
イエスは弟子たちに対するこれらの関わりを通して、もう一度、弟子たちをイエスとの関わりの原点に立ち返らせます。それは、弟子たちがイエスに愛され、招かれ、赦され、養われている、という原点です。そしてこの原点は、イエスと私たちとの関わりにおいても同じです。復活されたイエスは、はっきりと、私たちに愛と恵みの道を示して下さっているのです。