愛から離れない
（ルカによる福音書６章２７～３８節）
本日のこの聖書の箇所は、キリスト者の生き方の黄金律と言われ、初代教会では新たにクリスチャンとなった者への教育のために用いられた教えの内容と言われています。この教えの骨格は、①「敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。」（憎しみより愛を）②「あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。」（報復より愛を）③「求める者には、だれにでも与えなさい。」（惜しみなく愛を）④「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい。」（積極的な愛を）⑤「あなたがたは敵を愛しなさい。人に善いことをし、何も当てにしないで貸しなさい。」（見返りを求めない愛を）⑥「裁くな。赦しなさい。与えなさい。」（絶えず愛を）となっています。
これらの教えは、いつの世も、生きる私たちに、強烈な、挑戦的な問いかけをします。「あなたはこのように生きていくか」と。しかしこの教えの中心は、今日の聖書の箇所の３６節にある、「あなたがたの父が憐れみ深いように、あなたがたも憐れみ深い者となりなさい。」というイエスの言葉です。父なる神は、「恩を知らない者にも悪人にも、情け深い」（３５節）ほどに憐れみ深い方であり、まず、その憐れみがすべての者に、私たちに与えられているのです。このことを原点、出発点として歩み生きるキリスト者、クリスチャンは、本日の教えが示す生き方に向かっていくしかありません。たとえ自らのその生き方が不十分、不完全であっても、そこに向かって歩み生きるのがクリスチャンです。私たちクリスチャンから、愛を完全に全うされたイエス・キリストの十字架は、決して離れることはありません。