解放されて本来のところへ
(ルカによる福音書4章14~21節)
イエスは育った故郷のナザレで伝道を始めました。皆が会堂に集まって礼拝をする安息日に、イエスは会堂に入り、預言者イザヤの書の箇所を朗読し、教えを語り始めました。イエスが朗読したイザヤ書の箇所は、かつて預言者イザヤが神の霊を受け、貧しく苦しんでいる人や虐げられている人に「解放」と「自由」の知らせを伝える使命を、自ら宣言する箇所です。イエスはこの箇所を伝道のはじめに人々に読み聞かせました。そしてイザヤの、「解放」と「自由」に人々を導くこの喜びの宣言は、今まさに、イエスがおられる今日、実現した、とイエスは明言します。
イザヤが人々に語り、イエスが実現を明言した「解放」と「自由」という言葉は、聖書の原文のギリシア語で、どちらも「アフェシス」という単語が用いられています。この「アフェシス」という言葉には、二つの意味がこめられています。一つは、すべてが赦されてまったく自由になる、という意味です。もう一つの意味は、解放されて本来のところへもどる、という意味です。
イエスは自らの生涯を通して、その言葉と行いによって、この「解放」と「自由」を、私たち一人一人に与えて下さったのです。「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した。」とイエスは言います。「解放」と「自由」がイエスによって私たちに実現した今、私たちは、どのような自由の姿で、本来のどこへもどるべきなのでしょうか。そのことが本日の福音書の箇所を通して、私たちに問われています。