キリスト教教会 目白聖公会の公式ホームページです。
Anglican-Episcopal Church, Tokyo Japan

「敵を愛しなさい」
（ルカによる福音書6:27-38）
イエスは平野の説教（マタイによる福音書では山上の説教）のなかで、弟子たちを新たなところへ導こうとされました。それは「敵を愛する」（６：２７）ということでした。敵とは自分に対して好意的ではなく、自分を精神的にも肉体的にも攻撃する人のことです。そして、イエスは敵のために祈ることを命令します（「呪う者を祝福し、侮辱する者のために祈りなさい」６：２８）。なぜ、自分のことを攻撃する人のために祈らなければならないのでしょうか？イエスに招かれた弟子たちは彼ら自身、イエスにより祈られてきました。そして、祈りの人であり、神であるイエス・キリストがさまざまな病の内にある人々を癒してきたことをそばで見てきました。弟子たちはイエスに祈られて励まされてゆくなかで、自分たちの存在が大切にされていることを体験したことでしょう。それは赦されたという体験だったということを彼らはイエスの十字架の上での死と三日目に起こったよみがえりという復活を通してまた体験してゆきます。赦された者たちは、自分たちを憎む者を憎むことで、実は、また、自分たちが赦されない者（憎しみに縛られてしまう者）へと戻ってしまうことも体験してゆきます。だから、イエスは自分たちに敵のために祈れと命令されたのかということも知ってゆきます。
また、イエスは「あなたの頬を打つ者には、ほかの頬をも向けなさい」（６：２９）と弟子たちに命令します。この命令はキリスト者でなくとも多くの人が知るイエスの命令です。しかし、このことの本当の意味を知る人はこの世界にどれぐらいるでしょうか？少なくとも、イエスの十字架の死と三日目に起こったよみがえりという復活の出来事を通して「赦された」体験をしてきたキリスト者は全員、体験しているはずだと神はイエスを通してわたしたちに語りかけているのではないでしょうか。この体験と気付きを多くの人と分かち合う旅へとわたしたちは招かれています。恐れずに応えて参りましょう。
（司祭ウイリアムズ藤田　誠）