「苦しみから喜びへ」
(ルカによる福音書1:39~46)
降臨節第4主日を迎えてアドベントクランツに第4の火が灯されます。これまで「希望と平和と喜び」の火が灯されてきました。今日は「愛」の火が灯されます。神がわたしたちを愛してくださるから、わたしたちも人を愛することができます。その神さまの愛のしるしとしてクリスマスの出来事がわたしたちの間に起こります。
今日の福音書の箇所は天使から受胎告知を受けたマリアが苦しみながらもそのことを受け入れて、親類のエリサべトに挨拶しにゆく物語です。マリアはなぜ苦しんでいたのかというと、婚約者のヨセフとの結婚を控えての身に覚えのない妊娠だったからです。一方、エリサべトは「不任の女」と呼ばれていました。そして、そのことは「恥ずべきこと」として周囲から見下されていたのでした。マリアもエリサべトも当時の社会通念から外れた出来事がこの身に降りかかったゆえに苦しんでおりました。
この苦しみの最中でまずマリアは天使が彼女に伝えた、聖霊がマリアに降り、生まれる子どもが神の子であるということを受け入れます。そして、「不妊の女」として苦しみの最中にいたエリサべトのところへ挨拶しにゆきます。
イエスが弟子たちを村々へ派遣されるとき、「この家に平和があるように」と言うようにと弟子たちへ伝えましたが、マリアのエリサべトに対する挨拶は「平和の挨拶」と重なるように思えます。この「平和の挨拶」は苦しむ者同士が主にあって励まし合う出来事であり、聖霊の力がそこに注がれたゆえとも言えます。それは神さまがわたしたちを愛してくださった「しるし」とも言えます。まもなくその「しるし」の頂点として、み子、イエス・キリストのご降誕が人々の間に起こります。
(執事ウイリアムズ藤田 誠)