キリスト教教会 目白聖公会の公式ホームページです。
Anglican-Episcopal Church, Tokyo Japan

「新たに生まれる」
（ヨハネによる福音書3:1-17）
　聖霊降臨日に神によって約束された聖霊が弟子たちに注がれて、彼らは新たに生まれました。それは、ペトロが「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。」と聖霊降臨日に人々に証したように、神からの「赦し」の洗礼でした。イエスが当時の力ある者（政治的指導者や宗教的指導者）たちによって捕らわれたとき、一目散に逃げた弟子たち。そして、イエスが凄惨な十字架刑によって殺されたとき、それぞれ家の戸に鍵をかけて閉じこもっていた弟子たち。人間の弱さ、脆さを見事に体現した弟子たちが、自らの命を省みずにイエスの十字架の死と三日目のよみがえりを証する者へと変えられたのは、約束の聖霊を降した神の力ゆえとしか言いようがありません。
実は、この「赦し」の洗礼に至るまで、神はみ子であるイエス・キリストを通して、赦しの聖霊の息吹を弟子たちに注がれました。彼らのカチコチに閉じられた心の扉は開き、イエス・キリストのご復活を共に喜びました。「あなたがたに平和があるように」とご復活されたイエス・キリストが弟子たちに呼びかけたとき、共にご復活を喜んだ弟子たちの心には平安が置かれたのではないでしょうか。「赦し」によって開かれた弟子たちは、今回、約束された聖霊によって洗礼を受けて、「永遠の命」に与かる者となりました。
今回、夜にイエスに会いに来たファリサイ派の指導者ニコデモは「よくよく言っておく。人は、新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない。」とイエスに言われました。ニコデモはイエスが十字架の上で死んだ後、墓に葬られるとき、没薬とアロエを混ぜた者を百リトラ（約30kg）持ってきた人物です。ニコデモに「赦し」の聖霊が神やキリストから注がれたという記述は聖書にはありませんが、「新たに生まれる」意味をイエスより直に教えを受けたニコデモに神からの大きな祝福があったことは、イエスの葬りのときのニコデモの行動から伺えることだと思います。
キリストの教会に連なり、「父と子と聖霊のみ名によって」洗礼を授けられたキリスト者たちもまた、約束の聖霊を注がれた弟子たちやニコデモのように神より大きな祝福を受けています。そのことをこの三位一体主日にあらためて心に留めたいと思います。
（執事ウイリアムズ藤田　誠）