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「受難予告」

「受難予告」
(マルコによる福音書8:31-38)
 大斎節に入り、キリストの受難と死を想い起こす機会が与えられています。特に毎週金曜日は「十字架の道行」を通してこのことを心に刻むときと決めておられる方も多いのではないでしょうか?
 今日、私たちに示された福音は、イエスの口を通して語られた「人の子」の受難予告です。「人の子」がメシア(油注がれた者であり救い主である)ということで新約聖書が記された一世紀の共通理解であったのかは、学説として議論が分かれるところなのですが、イエスご自身の口を通して「人の子」の受難、つまり、長老、祭司長、律法学者によって排斥されたと記されていることを知るとき、教会では自ずと「人の子」はキリスト(油注がれた者)の受難が示されていると信じています。そして、その受難予告が必然性を持ってイエスの口を通して語られていることに驚愕するのです。
 その必然性に驚愕したのはイエスの筆頭弟子であるペトロにも当てはまります。彼は、そんなことがあってはならないと思い、イエスをいさめます。しかし、神のご計画によって受難の必然性を受け入れようとしているイエスにとってもまた、ペトロや多くの人々の無理解を受け入れられないことでした。このことを聖書は「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人のことを思っている。」と記しています。
 私たちの想いをはるかに超えたところにイエスも神もいるということは確かです。そして、その神の取り計らいによって、イエスは十字架にかけられて死に三日目に蘇ります。  このことゆえに、私たちは日頃からかかえている思い煩いや死への恐れから解放されていく恵みへと導かれているのだと、神の助けによって信じたいと思います。
(執事ウイリアムズ藤田 誠)

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