「福音を宣べ伝える」
(マタイによる福音書28:16-20)
イエスは弟子たちに福音を彼らが出会う人々へ宣べ伝えるよう命じました。その福音とは二つあります。一つ目はイエスがガリラヤで出会った規定の病にいた人、目の見えない人、悪霊に取りつかれた人、体の麻痺した人、長い間出血が止まらなく苦しいんでいた女性など、この世で希望を見出せなかった人々がイエスとの出会いによって励まされて、この世でもう一度前を向いて歩いてみようと思った出来事のことを多くの人へ伝えるということです。二つ目はイエスの十字架による死と復活の出来事です。この福音の要は「赦しの救い」です。イエスと関わった人々に起きた奇蹟に嫉妬した人々とリーダーは力によって従う人々を治めるという先入観によってイエスの人と成りに失望した人々、そして、弟子たちの裏切りによってイエスが十字架に付けられて死んだけれども三日目によみがえり弟子たちへ「赦し」の聖霊の息吹を吹きかけた出来事のことを多くの人々へ伝えることです。もう少し踏み込んで考えるならば、「赦し」の聖霊を受けてあなたも救われなさいということでしょう。これが「洗礼」という秘蹟であり「喜びの知らせ」の大きな中身です。
キリスト者は父と子と聖霊の名によって洗礼を授けられます。この洗礼の秘蹟によってキリスト者は「赦された者」の喜びをまとって、出会う人々に対してイエスのように分け隔てなく接して励まし、そして、彼らもまた「赦された者」へと招かれていることをキリスト者の全人格を通して伝えていく使命があります。このような使命を果たす過程において、キリスト者は十二人の弟子と同じようにキリストの弟子へなっていくのでしょう。
(執事ウイリアムズ藤田 誠)