「イエスは必ず死者の中から復活される」
(ヨハネによる福音書20:1-10)
聖書に収められている四つの福音書はガリラヤのイエスが出会った人々、すなわち、弟子たちや彼らと共にいた家族、女性たち、やもめ、病にあった者たち、貧しい者たち、子どもたち、徴税人との交わりについての証言とイエスが油を注がれたユダヤ人の王であり世の罪を取り除く救い主であるメシア、すなわちキリストが歩まれた受難(十字架への道と死)と復活についての証言集と言えます。この証言集を記録したマルコとマタイとルカとヨハネは記録した時代も地域も異なりました。それゆえにこの証言集は時空を超えて神から人々への良い知らせ(福音)として今を生きる私たちに届いています。
この良い知らせ(福音)の大きな要は「イエスが人々の罪のために死んだこと、葬られたこと、聖書に書いてあるとおり三日目に復活したこと」でした。イエスが人々の妬みや憎しみによって十字架刑に処せられ死んだこと、イエスの弟子と女性たちによって埋葬されたこと、死後、三日目に女性たちと弟子たちの前に復活したイエスが顕れたことは四つの福音書にほぼ共通する出来事です。ヨハネは「それから、先に墓に着いたもう一人の弟子も入って来て、見て、信じた。」(20:8)と証言します。ここでヨハネが記した「見て」という言葉は視覚的に見えるということを越えて霊的に見えたという意味にも用いられる原語(ギリシア語)を使っています。この二人の弟子たちの信仰の姿勢は視覚的にイエスの復活を体験できない私たちに大きな示唆を与えてくれます。私たちは黙想と祈りを通してそれぞれがイエスの復活を体験できる機会を個々においてまた、教会共同体の交わりのなかで与えられています。その一方で「イエスは必ず死者の中から復活されることになっているという聖書の言葉を、二人はまだ理解していなかったのである。」(20:9)というヨハネの証言は私たちの復活体験が恣意的にならないように、また、注意深くみ言葉に聴くように(聖書を読むように)促しているように思えます。2023年4月9日の「復活日」が私たちにとって喜びと希望に包まれた復活体験となりますように祈ります。
(執事ウイリアムズ藤田 誠)