旅をする者たちが
（ルカによる福音書２章１～２０節）
クリスマスおめでとうございます。
降誕日の今日、私たちはルカによる福音書をとおして主イエス・キリストがお生まれになった出来事を知らされます。イエスは両親が旅をしている途中に家畜小屋で生まれました。当時ユダヤを支配していたローマ皇帝が人口調査の命令を出し、住民たちは自分たちの先祖の地へ行って登録をしなければならなくなったからです。ですからその時はどこも宿屋は宿泊客でいっぱいでした。イエスが生まれた時、両親は宿屋に泊まれず、野宿をしている状況でした。一方、救い主イエスの誕生を初めに知らされた羊飼いたちも、羊と共に荒野を旅し、野宿をして生活をしていました。主イエスの誕生の出来事は、旅をしている人々の中で起こります。本日読まれるルカによる福音書ではなく、マタイによる福音書の主イエスの誕生の記事でも、星に導かれて新しい王の誕生の出来事を訪ねて旅をする占星術の学者たちが記されています。
そして、この旅をする者たちはついに救い主イエス・キリストの誕生の出来事に出会う、という共通し、統一された旅の最高の目的に到達するというメッセージがクリスマスの物語です。旅とは、自分の居場所から離れて行くことであり、決して安住が保証されない苦しみや困難が伴うことであり、それぞれが与えられて向かうことになる目的に進むことです。しかし旅をしているイエスの両親も、羊飼いたちも、占星術の学者たちも、その旅の中で、主イエスの誕生の出来事に出会い、自分たちの旅の真実の目的を確認しました。それは、「救い主が私たちのために生まれ、救い主が私たちと共におられる」という最高の恵みに与ることでした。
人生は旅、と言われます。私たちもこの旅にあって、イエスの両親や羊飼いたちや占星術の学者たちが出会い、確認し、与った、このクリスマスによる最高の恵みに招かれているのです。