生きている者の神
(ルカによる福音書20章27、34-38節)
教会の暦では特に11月に、ご逝去されたすべての方々を覚えて祈る時を迎えます。今なお生きている私たちも、すでにご逝去された方々も、共に復活の命にあずかっていることを覚えて祈り、すべての者は神によって生かされ、また受け入れられていることをますます確信して、感謝のうちに、ご逝去された方々の魂の平安を祈ります。神への感謝のうちに、教会の一年の暦をしめくくるのです。
復活の命、永遠の命のうちに、すべての私たちは神に生かされていることを見失ってしまうのであれば、この世の価値観やものごとのとらえ方の延長で、死を越えた次の世のことを考えてしまいます。ある女性の夫が亡くなり、その女性が再婚してもまた夫に死別されたら、その女性は死後にいったい誰の妻となるのか、と疑問をもっている人たちがいました。また、自分たちのこの世の身分は死後の世界でも保障されるのだろうか、と心配する人たちがいました。このことについて、神によって生かされていくという、復活の命、永遠の命を否定して、この世の自分の命が死後の世界でも続いていく、と考える人たちがいました。その人たちは、当時、サドカイ派と呼ばれていました。彼らは突き詰めるところ、神を無視し、「自分たちの力で生きるこの世」がすべて、という生き方をしていたのです。
しかし、すべての人は神によって生かされているのです。神は、そのことを信ずる者の神なのです。その真の意味で、神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神なのです。