「守り」の祈り
(ヨハネによる福音書17章1~11節)
ヨハネによる福音書17章には、イエスが十字架につけられる出来事を目前にして祈った、「大祭司の祈り」といわれる祈りが記されています。祭司は、人々の罪が赦されるために祭壇に犠牲をささげる役目を担いました。イエスは、自らを犠牲にしてすべての人々の罪が贖われるために十字架につけられました。それゆえに、イエスは大祭司と呼ばれます。そのイエスが十字架の出来事を目前にして祈ります。イエスはこの「大祭司の祈り」といわれる祈りで、三つの祈りをします。一つは、十字架の出来事をとおしてイエス自身に神の栄光を与えて下さい、と祈ります。二つめの祈りは、神の御言葉を受け入れてイエスを信じた人々が、神とイエスと共に一つとなるために守って下さい、と祈ります。そして三つめの祈りは、イエスを信じた人々の言葉によってさらにイエスを信じる人々が、神とイエスと共に一つにして下さい、と祈ります。
本日朗読される箇所では、二つめの祈りまでが記されています。イエスは、神の御言葉を受け入れてイエスを信じた人々が、神とイエスと共に一つとなるために「守って下さい」、と祈るのです。聖書の原文では、この「守って下さい」という言葉は、ギリシア語で、「テーレオー」という単語が用いられています。このもともとの意味は、内にあるものが出ないように守る、という意味です。神の御言葉を受け入れてイエスを信じた人々の内にあるものは、<神の御言葉>です。イエスは、イエスを信じてキリスト者となった人々から、<神の御言葉>がどこかへ出ていって見失われてしまわないように、神にその「守り」を祈るのです。
キリスト者である私たちの信仰は、イエスの祈りと、神の「守り」によって、励まされています。