「石ころ」が「岩盤」に
(マタイによる福音書16章13~20節)
イエスの弟子のペトロを象徴するシンボルはいろいろあります。聖書から知らされるペトロの記事や出来事から、「魚」や「鍵」や「岩」がよくペトロのシンボルとされます。「魚」については、ペトロがもともと漁師だったことから由来します。「鍵」や「岩」については、本日の福音書の箇所からそのシンボルが由来しています。
本日の福音書の、「あなたは<ペトロ>。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。」(18節)というイエスの言葉は、聖書の原文のギリシャ語では、「あなたは<ペトロス(石ころ)>。わたしはこの<ペトラ(岩盤)>の上にわたしの教会を建てる。」となっています。イエスは弟子のペトロに、「石ころにすぎないあなたであるが、わたしはそのあなたを岩盤として、教会の基礎とする。」と語っているのです。石ころにすぎないペトロが、信仰の共同体である教会の基礎の岩盤となる根拠は、ペトロの信仰の告白にあります。ペトロは、「あなたはメシア、生ける神の子です」(16節)とイエスに言いました。
ペトロはしかし、このようにイエスに教会の基礎とされながらも、この後、自らの行き詰まりや弱さを体験し、そのことを露呈します。しかしながらペトロは、その自らの弱さを露呈しつつも、それ以上にイエスに対しての「あなたはメシア、生ける神の子です」という信仰の確信を持ちつづけます。そこに「石ころ」が「岩盤」となる逆転が起こります。